夫婦間での贈与
長期間にわたり、ご苦労を供にされました奥様に、
感謝のお気持 を表されますことは、非常に大切 なこと
と思われます.
しかし、ここで重要なことは、 個人が財産をもらったとき
に課税される税金が あリます。
それは贈与税と言う名の税金であります。
最初に、贈与税について検討いたします。
T贈与税について.
ここでは、「贈与税の原則」と 本問に関係する「特例」に
ついてのみ考えて
みることに致します。
それ以外の事項又は詳細につきま
しては、最寄の税務署に
お問合せ下さい。
1)原 則
1年間に贈与を受けた財産 の価格を合計して金110万円を
超えるときは贈与税 が課税されます。
a) 期間の起算日は 1月1日です。
b) 贈与を受けた財産額
1人の方が1年間に数人の方々から贈与を受けたときは、
その合計金額になります。
2)贈与税の特例
1) 夫婦間において居住用不動産の贈与があった場合で、
次の要件に該当するときは、最高2000万円までの
「配偶者控除」 の適用を受けられます。
従いまして、贈与税の基礎控除金110万円と合計しまして
最高額2110万円までは、課税 されないことになります。
「ご注意」
A) 原 則 一般に、贈与者に相続が発生しましたときは、相続開始前3年
以内に生前贈与された財産の価格は、「相続税の課税価格」に
加算されることになります。 (相続税法第19条)
B) 例 外 1)しかし、上記「配偶者控除」の適用される贈与金額については
「3年以内」の贈与又は 、「相続開始の年」の贈与であっても
相続税の課税価格に加算されません。
すなわち、「相続税対策」として作用する場合があります。
2)相続人間で「遺産分割」をする場合、
居住用の土地・建物を「遺贈」又は{贈与」受けた配偶者は
原則として計算上遺産の先渡しを受けたものとして取り扱う
必要がなくなります。
従いまして、配偶者は、より多くの財産を取得することが
できることになります。
この項{例外(2)}は、平成31年(西暦2019年)7月1日施行
2)要 件
あ) 婚姻期間が20年以上あること
婚姻期間とは婚姻届出日から贈与日迄の期間をいいます。
但し、当該期間中に受贈者が贈与者の配偶者でなかった
期間あるときはその期間を除きます。
(相続税法施行令第4条の6第2項)
い)居住用の土地・建物であること
う) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、上記2の建物で生活
し、その後も引き続き生活する見込みであること
え)贈与税の申告書を提出すること
お)同一配偶者からの贈与についてこの特例の適用を受けるのが
初めてであること。
次に、奥様に「お住まい」を贈与されますとき の登記手続きについて検討いたします。
上記の贈与税の控除額を 考慮して進めていくことになります。
U)配偶者控除と基礎控除の合計額内で居住用不動産を配偶者に贈与
されるケースの時。
このケースのときは、まず第一に、贈与いたします不動産の価格を、如何にして
控除の範囲内にするのか?
そして、そのことをどのように登記簿に反映するかが重要な点であります。
1)不動産価格の算定方法
@建物価格は、市区町村発行の固定資産の評価価格により算出いたします。
A土地価格は、税務署に備え付けられています「贈与年度」の路線価格により
算出いたします。
(ご注意)
土地価格の算定には、当該不動産の形状 ・位置関係等によりまして、算定方法
が色々なケースがご座いますので、詳細は最寄りの税務署でお問い合わせ下さい。
2)次に、上記算定方法により贈与されます「奥様の当該不動産の価格」を
登記簿という公の磁気ファイルに登記する必要があります。
@一この場合、当該不動産の総価格に対する「贈与される価格」を分数で表示さ
れることになります。(これを持分と言います。)
2)ここでご注意戴きたいことは、土地価格と建物価格の合計額を、上記控除額の
範囲内に納める必要があります。
従いまして、ケースにより土地と建物の「奥様の持分」が違う場合もあります。
3)その登記申請の方法は、
あ)登録免許税・必要書面を添付した登記申請書を当該不動産を管轄する法務局に、
ア)持参して申請する方法
イ)郵送で申請する方法
ウ)オンラインで申請する方法
があります。
(ご注意)
オンラインで登記申請された場合、以前は租税特別措置法第84条の5で登録免許税
の軽減措置がありましたが、平成25年3月31日をもって廃止されました。
い) 必要な書面
1 登記申請書
2 登記原因証明情報
3 登記済証(又は登記識別情報)
4 印鑑証明書 (又は電子証明書)
5 住所証明書
(又は住民基本台帳カード番号)
6 代理権限証書
7 評価証明書
[新不動産登記法(平成17年3月7日施行)]
各項目の詳細につきましては下記、「質問」ボタンをクリックされ、「質問コーナー」
お越し下さい。
う) 登録免許税
市区町村発行の土地・建物の評価証明書に記載された価格に下記数字を掛け合
わて算出された金額です。
20/1000 (2%)
例えば、土地建物の評価価格 の合計金額が金100万円の場合。
1,000,000×(20/1000)=20,000(円)
すなわち、登録免許税額は金2万円となります。
回答者 司法書士 森下惠司