7.遺産分割及び問題点 

    
    1) わが国において遺産の承継の仕方は、一応共同相続人の共同所有とし、
      この遺産を相続分に応じて、各相続人に分割するという方法をとられて
      います。これを遺産分割といいます。

    2) 遺産の分割は、相続の開始の時にさかのぼって効力が発生します。
       すなわち、遺産分割である遺産の所有者等になった相続人は、被相続
      人より、直接的にその遺産を承継したことになります。

    3) 各相続人は遺産分割前でも、全体としての遺産上の相続分に対応する
      権利を第三者に譲渡することも可能です。 
       この場合は、譲受人が他の相続人と遺産の分割協議をすることにな
      ります。
                                                                 
   
    4) 共同相続人は、遺産に属する個々の財産につき持分をもち、この持分
      を自由に処分することができます。

     ┌但し、被相続人の遺言があり、遺言執行者が定められているときは。┐
     │                               │
     │ 相続人は相続財産の処分、その他遺言の執行を妨げる行為はできま│
      └ ません。                          ┘

    5) 一旦、遺産の分割方法等で争いが生じますと、親族間の紛争という特殊
      性があります。

    6) 過去の人間関係から生じる紛争内容の複雑性から、解決までの期間が相当
      長期化する傾向がある。
     ア) バブル経済による地価高騰を反映し急増し、その後のバブル経済崩壊
        しても状況は変化していない。(各自の権利意識が高くなつている。)
        司法統計から、全家庭裁判所の遺産分割事件の新受権数の総数は
            昭和54年度   5715件
            平成 3年度   9501件  約66%増加

          大阪家庭裁判所
            昭和54年度    301件
            平成 3年度    707件  約135%増加

           遺言書検認事件
            昭和54年度   2375件
            平成 3年度   6191件