>4.相続人
1) 血族的相続人とその順位
@第一順位───被相続人の子
ア) 実子と養子とを区別しないし、嫡出子と非嫡出子との区別なく
相続人となります。
イ) 嫡出子と非嫡出子の法定相続分は(未決着の西暦2001年7月以降
の相続)同じ割合になりました。
ウ) 他人の養子となった子も含まれます。(但し、特別養子は省く)
エ) 子が数人あれば共同相続人となり、その相続分は等しい。
オ) 相続人である子が相続放棄したときは、その子(孫)は相続人
になれない。
A第二順位───被相続人の直系尊属(実父・実母・義父・義母等)
ア) 子が一人もなく子を代襲すべきものがないとき。
イ) 母と父方の祖父母があるときは母だけが相続人となります。
ウ) 父母がいないとき、初めて祖父母が相続人となります。
エ) 実母と養父母とがあれば三人が相続人となり、その相続分
は等しい。
B第三順位───兄弟姉妹
ア) 子が一人もなく子を代襲すべきものがなく直系尊属もいな
いとき。
イ) 兄弟姉妹が数人いるときは、同順位で共同相続人となり、そ
の相続分は等しい。
ウ) 兄弟姉妹の内、一部の方又は全員が死亡又は相続権を失った
ときは、その子が代襲相続人となります。
C配偶者──各順位の相続人がいるときでも常に同順位の相続人となる。
ア)各順位の相続人がいないときは単独で相続人となります。
イ)血族的相続人の一人が相続放棄しても、配偶者の相続分に影響
しない。
但し、全員が放棄して次順位の相続人が出てくれば、配偶者
の相続分は変化します。
例えば、子(AとBの2人)と配偶者が相続人である時、
ア)放棄者がいないとき、
相続分は配偶者2分の1・子(A)4分の1・子(B)4分の1
イ)子(A)が相続放棄すれば、
相続分は配偶者2分の1・子(B)2分の1
ウ)子2人とも相続放棄すれば、
相続分は配偶者3分の2・直系尊属3分の1
2) 代襲相続人
@相続人が相続開始以前に死亡するか、相続権を失った(欠格者・排除)時。
例えば、被相続人に甲・乙2人の子を残して平成13年1月4日に死亡
したが、甲は、それより以前の平成10年10月10日に、A・B2人
の子(被相続人からみれば、孫)残して死亡していた時。
ア)AとBは、甲に代わって相続いたします。このことを代襲相続と
いいます。
イ)この場合、AとBの相続分は、甲の相続分を均等に相続いたしま
す。 すなわち、4分の1となります。
A相続人が相続放棄したときは、代襲相続はありません。
B代襲相続人は、代襲相続するときには生存しているか、胎児であること
C代襲相続人は、相続権を失った者の直系卑属であり、被相続人の直系
属(子の代襲)か、傍系卑属(兄弟姉妹の代襲)であること。
例えば、養子の養子縁組前にうまれた子は、養親の直系卑属であり
ませんので、代襲相続人になれません。
D兄弟姉妹を代襲するケースは、兄弟姉妹の子一代限りです。
E代襲相続人(孫)は、被相続人(祖父)・代襲されるべき者(親)と
の関係でも、相続権がなければなりません。
例えば、孫が代襲相続人となるとき。
孫は、祖父及び親から相続排除されていたり、相続欠格者に該当し
ておれば、代襲相続人になれません。
F代襲相続は直系卑属(子・孫等)及び兄弟姉妹以外はありません。
配偶者及び直系尊属(祖父等)は代襲相続しません。
例えば、被相続人に甲・乙2人の子を残して平成13年1月4日
に死亡したが、甲は、それより以前に死亡し、甲には配偶者丙しか
いない時。(甲と丙間には、子がいない時)
この場合、乙のみに相続権がありますが、配偶者丙には相続権はあ
りません。
3) 同時死亡────被相続人(親)と相続人(子)とが同一の事故で死亡した
ケース。
例えば、甲とBが同一の交通事故で死亡し、次のような関係にあつた時。
(父) (母)
甲─┬─乙
│
┌─┴───┐
│ │
│ │
(子)│ (子)│ (Bの配偶者)
A B──T
@父甲の遺産は母乙と子Aとが、各2分の1づづ相続し子Bの配偶者Tに
は相続権はない。
A子Bの遺産は、配偶者Tと母乙とが相続する。
その相続分はTは3分の2で、乙は3分の1となる。
4) 推定相続人の排斥
@ 相続欠格(法定)
ア)相続に関して不正行為した者、不正行為をしようとした者を「相続人」
及び「受贈者」より排斥しようとする制度。
イ)欠格者が、他の者の相続人になれる。(相対的)
例えば、父に対しては欠格者であつても、母親の相続人になることは
できる。
ウ)欠格の効果は、確定的である。
例えば、父に対して欠格者である者は、父が欠格者に遺言で財産を
相続させようとしても不可能となる。
A 相続欠格となる行為
ア)故意に、被相続人又は、相続について先順位もしくは同順位の者を殺す
か、殺そうとしたため、刑に処せられた者
イ)被相続人の殺害されたことを知って、告発・告訴しなかった者
但し、1)是非を弁別する能力がない ┐
2)殺害者が、自分の配偶者か直系血族┘の場合は除く。
ウ)詐欺・強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、取消・変更
することを妨げた者
エ)相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者
5) 推定相続人の廃除
@法的に相続人として、当然に否定されるほどの重大な事由(相続欠格
)はないが、被相続人(皆様方)からみて、推定相続人(子・配偶者
等)に自分の財産を相続させたくないときのために、設けられた制度
です。
A遺留分のある推定相続人を廃除できる事由
ア)被相続人に対する虐待・重大な侮辱
イ)推定相続人に著しい非行があるとき。
B廃除方法
ア)被相続人が生前に家庭裁判所に請求する。
イ)遺言で廃除の意思を表示し、遺言執行者又は遺族が家庭裁判所に請求
する。
C廃除の効果
ア)家庭裁判所で廃除の審判が、確定すれば相続人は相続権が無くなる。
イ)廃除の効果は相対的である。
例えば
a) 父が子(A)を廃除したとき、父の財産に対しては相続権は
ありませんが、母が死亡し母の残した財産に対しては相続す
ることはできます。
E廃除の取消
ア)被相続人は何時でも、理由あげることなく廃除を取消することは可能
です。
イ)遺言によってでも、廃除を取消することはできます。